2016年9月27日(火)、京都「祇園 さゝ木」にて《AJFA勉強会》を実施しました。テーマは
~「てんぷら 近藤」近藤文夫さんに教わる~
「素材の特性に合わせた天ぷらの揚げ方」
近藤文夫理事(てんぷら近藤)を講師に迎え、2時間半にも及ぶ、講義と実演、試食を開きました。
まずは、「てんぷら近藤」で日々、使っている「油」とその配合、卵水や粉をはじめとする、衣についての分量や混ぜ方のポイントなどを近藤さんに、詳しくレクチャーいただきます。
その後、魚介のてんぷら、野菜のてんぷらの実演へと続きます。
「みなさん、てんぷらを“揚げ物”と考えたら大失敗します。“蒸し料理”であるということを常に念頭に置いて、揚げてください」。
そう話す近藤理事は、参加者の目の前で、実際にてんぷらを揚げながら、ご自身が長年にわたって磨きあげてきた技術を包み隠すことなく披露します。
揚げたての「牡蠣」を参加者の皆さんはハフハフと頬張ります。
「とても薄い衣なのに、牡蠣そのものの水分がしっかりと留まっています。
素材に対しての衣、その薄さに驚きです」とは、日本料理「子孫」の藤原研一さん。
続いては「モンゴウイカ」のてんぷらです。
「イカは、高めの油(190℃)でサッと揚げます。イカの中心は、透明感が残るくらいの火通りが良いです」と近藤さん。
その後、「小柱の海苔巻き」をはじめ
背開きにし、やや低めの温度(175〜180℃)で柔らかく揚げた「キス」、
190℃前後という高めの温度でしっかりと火を通す「穴子」へと。
近藤さんによる、それぞれの魚介の特性についての説明がなされ
だからこそ、粉、衣、揚げの温度と音の変化、揚げ上がりの目安について詳しい解説へと続きました。
なかでも「穴子」は、「穴子のてんぷらは、ごま油の真意が出ます」と近藤さん。
190℃前後の温度をキープし、穴子の水分を適度に抜きながらカリッと揚げることで、
ごま油の香ばしさがぐっと持ち上がり、さらには穴子特有の臭みを消すのです。
また、皮にしっかりと火を通すことで、穴子本来の旨味が出るといいます。
「大胆な揚げ方です」
「今までやっていた穴子のてんぷらとは、まったく違う!」と、参加者も驚きを隠せません。
この後、油を取り替えて、野菜のてんぷらの実演へと続きました。
油を170〜180℃に保ち、まずは「茄子」を揚げます。
「野菜は、何切れ入れるかなど、何か目安はあるのですか?」と前川浩一さん(祇園 さゝ木 料理長)。 近藤さん曰く「個数ではないのです。素材により水分量が異なりますから、油の温度と、野菜そのものの水分量、衣の変化で、入れる個数を決めます」。
その後「加賀蓮根」、「大黒しめじ」、「人参のせん切り」、30分以上、火を通した「さつまいも」、「かぼちゃ」の実演と試食へと。
試食を終えた参加者からは、
「天ぷらを“天ぷら”と言うジャンルで見ていたが、アプローチや捉え方をちゃんと見つめなおすだけで ガストロノミックな料理になるんだと感じました」、
「江戸前の天ぷらと京都の天ぷらの違いがよくわかりました。自分が気づかなかったことをすごくわかりやすく教えていただき非常にありがたかったです」、
「近藤さんがなんでも気さくにお答え下さり、とても勉強になりました。材料の違いによる、温度、揚げ方の違いなど、よく理解できました。まさに天ぷらは蒸し物」
など、さまざまな声が寄せられました。