全日本・食学会 ALL JAPAN FOOD ASSOCIATION

      
【開催日】
2021年8月1日(日)/2日(月)
【開催場所】
熊本県人吉市 黒豚キッチンKUMAKURO、ひまわり亭、人吉矢岳牧場、等

今年度もJRA助成事業「シェフと伝える持続型畜産確立事業」を実施しています。これは、アニマルウェルフェア、環境負荷(脱炭素社会)、低エネルギー、自給率向上等などに配慮した持続型畜産を試みる生産者・食品工房の活動を、トップシェフによるメニュー提案・試食会などを通して発信して消費者等の認知を深め、国産畜産物の付加価値を創造する事業ですが、災害などの被災地の生産物の魅力をシェフの調理を通して再認識する復興支援活動も行っております。

今回は、令和2年7月豪雨による球磨川氾濫被害を受けた熊本県人吉球磨地域の復興支援を行います。
人吉球磨地域は熊本県の南端にあり、宮崎・鹿児島両県に接しており、熊本市・宮崎市・鹿児島市のほぼ中央に位置する好アクセス地で、南九州の交通の要となっています。市の中央部には、日本三急流のひとつ・球磨川が流れ、鮎釣りのメッカで「球磨川下り」や「ラフティング」も人気の川です。そのエリアが豪雨による被害を受けました。

最初に訪れたのは、くま川鉄道(豪雨被害により現在は全線において運休中)の「あさりぎ幸福駅」【写真①】内にある「球磨の黒豚」を味わえる食事処「黒豚キッチンKUMAKURO」。
https://www.kuma-kurobuta.com/


試食会上


四肢と鼻の頭と尻尾の六ケ所が白いバークシャー種の原種「六白黒豚」。土の感覚に近い「発酵床」を採用し、安心で安全な飼料を選び抜き、300日以上をかけて大切に育てる六白黒豚の魅力を伺いました。

続いて人吉市内の「ひまわり亭」。郷土の家庭料理を味わえるレストランとして大変な人気店でしたが、ここも豪雨被害で約2メートルの浸水。しかし、オーナーの本田節さんはご自身が被災されながらも、数日後からキッチンカーでの炊き出しを市内各地で開始し、店は衣類や食料品などの支援物資を近隣住民に提供する拠点にもなりました。現在はリニューアルを終え、ひと・まち・くらしを食で繋げる活動の発信地として活用します、とパワフルに語って下さいました。
お店の脇に鎮座する巨大な郷土玩具「きじ馬」。【写真②】豪雨被害で流されたものの、約60キロ下流の球磨川河口近くで見つかり店に帰ってきたという『ど根性きじ馬』で、復興のシンボルとなっています。


めぐみ野豚とへそ大根の饅頭


次に伺ったのは創業以来、昔ながらの伝統的製法を守りぬき、美味しい人吉球磨茶を作っておられる立山商店。https://www.tateyamasyoten.com/
人吉球磨茶の素晴らしさはもちろん、復興に向けた人吉球磨地域の皆様の想いに胸熱くなる時間でした。


めぐみ野豚とへそ大根の饅頭


翌日は杉本本店グループ「黒樺牛(くろはなぎゅう)」の人吉矢岳牧場へ。
http://www.sugimotohonten-shop.com/kurohanagyu/bokujo/index.php
海抜536メートルの山あいの自然あふれる大規模な牧場に圧倒されました。【写真④】


めぐみ野豚とへそ大根の饅頭


豪雨による球磨川氾濫被害からまだ1年。至るところその爪痕が残っていますが、出会った皆さんはとても前向きで、大好きな人吉球磨地域を復興させよう!というパワーに溢れてらっしゃいました。

この想いに応える「ひとよしくま復興食堂」の実施は11月頃を予定しております。 ご期待下さい。