全日本・食学会 ALL JAPAN FOOD ASSOCIATION


      
【開催日】
2019年8月7日~9日

味の素㈱x㈱北海道新聞社共催企画「ふるさと再発見!夏休み こんぶ塾 in えりも」開催報告

味の素㈱ 広報部サイエンスコミュニケーショングループ 博士(薬学) 中田國夫


全日本・食学会のご協力の下、味の素㈱と㈱北海道新聞社(以下、道新社)の共催食育企画「ふるさと再発見!夏休み こんぶ塾 in えりも」を8月7日から9日の日程で実施


道新社・こども新聞「まなぶん」のこども記者9名(小学校高学年)を引率し、うま味発見のルーツである昆布の名産地・えりも町を訪問し、現地でえりも町の児童5名と合流した総勢14名を塾生として「こんぶ塾」を開講した。

塾長として全日本・食学会の常任理事 脇屋友詞先生、講師として、同 上柿元勝先生、同 堀井良教先生、帯津善紀先生をお迎えし、後述の実地学習プログラムに臨んだ。

初日の7日は、①全日程をこども記者として参加するため、記者としてのいろはを学ぶ新聞記者講座(道新社・こども新聞「まなぶん」元井編集長)、②うま味とは何か、昆布とうま味の関係を学ぶ味覚教室(北海道味の素社・高橋社長)、8日は、③昆布漁から昆布が市場に出るまでの工程、持続可能な海産資源の仕組み作りとブランディングを学ぶ施設見学(えりも町漁業組合・金子参事、本間氏)、④生昆布を用いた理科教室(えりも町教育委員会・中岡課長、水産の館・髙木学芸員)、⑤食学会から招聘したトップシェフによる、地元食材を活用した新レシピの調理実習(脇屋先生、上柿元先生、堀井先生、帯津先生)、⑥お世話になったえりも町役場・漁協との交流会におけるこども記者全員の感想発表と、過密とも思えるスケジュールを、こども記者は病気怪我など一切なく元気に乗り切った。最後はえりも岬にて自然観察・体験とお土産を購入し、札幌市内の北海道新聞社・本社に戻り、それぞれ帰途についた。


本企画の中核である⑤の調理実習では、当初、こども記者を3班に分け、脇屋先生(帯津先生)、上柿元先生、堀井先生にそれぞれ指導頂く予定であった。しかし、「中華、フレンチ、おそばというそれぞれ異なる分野の料理人が集まる企画で、どれか一つだけというのは好機喪失である」という脇屋塾長のご発案により、急遽、全先生のお手本を全員で見学し、その後、各班でそれぞれの先生に指導を受けながら実習する形式に変更した(写真1)。真剣な面持ちながら、リラックスして料理する塾生の姿が印象的であった。出来上がった料理(写真2)を食べ、「美味しい」「こんな料理食べたことない」という歓喜の声の中に、純朴な笑顔がそこかしこに咲いた。

こども記者の目には、地元食材が高級料理に変身する様が魔法のように映ったのか、先生からもっとお話を聞きたい、というリクエストがあり、当初予定にはないことであったが、先生がたにご相談させていただき、「なぜ、料理の道を志したか」をテーマにご講和頂いた。塾生を対象としていたにも関わらず、えりも町役場・漁協、運営スタッフが集結し、会場は静かながらも真剣な雰囲気に包まれていた。

ご講和は笑いあり、涙ありで、こども記者のみならず、大人も魅了されていた。一部の大人も目に涙をためていた。

手元に、こども記者から先生がたへの感謝の言葉がある。その中の一例をあげると、「「ありがとう」と感しゃして食べようと想った。作る大変さ、命への感しゃ。いろいろなことが学べました(原文まま)」とあった。全て読んでいくと、先生がたがこんこんと語られたフレーズがいたるところに書かれている。こども記者が得た薫陶は、食育の究極、換言すれば、「食」を通じて「いのち」や「こころ」の大切さを学んだのではなかろうか。

本企画は、8月8日付の北海道新聞朝刊に掲載されたほか、8月下旬には、北海道新聞と「まなぶん」にて特集記事として取り上げられる予定になっている。この成果は、ひとえに、運営側の行き届かない点を優しく是正指導し、予定外の要請でも参加児童のためにご尽力くださった、脇屋先生、上柿元先生、堀井先生、帯津先生のお力添えの賜物と考えている。最後になり恐縮であるが、本企画に先生がたを派遣くださった一般社団法人 全日本・食学会および村田会長に心からお礼申し上げる。


【調理教室で塾生に指導される全日本・食学会の先生がた】

(A)脇屋友詞先生、(B)上柿元勝先生、(C)堀井良教先生、(D)帯津善紀先生。

先生がたはコックスーツを着用され、真剣な面持ちでお手本を見せられた。その後、先生がたの熱心かつ優しい指導を受けながら塾生が実際に調理した。懸念していた怪我も一切なく、和気あいあいの150分となった。えりも町役場内の調理実習室にて。


【先生がたの考案された、北海道産食材をふんだんに使ったお料理】

(A)脇屋先生ご考案。[左]「日高昆布XO醤の具たくさんワンタンスープ」、[右]「日高昆布XO醤の宝ご飯」、 (B)上柿元先生ご考案。[左]「ツブ貝と季節野菜のフレンチ風“まぜごはん”」、[右]「ミネストローネ」。 (C)堀井先生ご考案。「夏野菜とボタン海老の更科かけそば」。


【「こんぶ塾」交流会における集合写真】

舞台中央に立つ全日本・食学会 脇屋先生、同 上柿元先生、同 堀井先生と同 帯津先生を囲む、こども記者、えりも町児童、えりも町児童のご家族、えりも町役場、えりも漁協、各社スタッフ。「こんぶ塾」全日程参加者は、ミントグリーンの特注Tシャツをおそろいで着用して結束を高めた。脇屋塾長ご発案・ご発声の「こんぶー!!」で、全員が笑顔で拳を突き出した。えりも町福祉センターにて。


(報告者略歴)

中田 國夫(なかた くにお)、2007年 博士(薬学)を取得、味の素(株)入社。各研究所で基礎研究に従事したのち、2019年7月より広報部に異動、現在に至る。専門は、タンパク質科学。