3月28日(月)大阪ガスクッキングスクール淀屋橋にて<AJFA勉強会 日本料理 × 薬膳>を実施しました。
料理家・吉田麻子さん、国際中医薬膳管理師・黒川眞妃子さんを講師に迎え薬膳の解説と料理デモンストレーションを行いました。
日本料理は「季節や旬」を大切にします。
そこに薬膳という切り口から食材が体にどのように働きかけるのかというエッセンスを取り入れ、“和薬膳”としてコラボレーションレシピを組み立ていただきました。
今回のお料理の話に入る前に基本的な中医学・薬膳の考え方を黒川眞紀子さんから教えていただきました。
中医学では薬食同源思想(薬と食べ物は同じ源である)という考え方があるそうです。
季節や体質に合わせて必要な効能を持った食材を選びだし、上手く組み合わせて食べることで養生していくというのが基本的な薬膳の考え方とのこと。
日本料理と薬膳は旬のものを大切にするという点が共通しており、「旬のものはいま身体に必要なものを含んでいる食べ物とも言える」と黒川眞紀子さん。
また薬膳で使う食材は特別なものと思われがちですが実はそうではないことを教えていただきました。
例えば生姜は生薬では生姜(しょうきょう)と呼ばれています。
生姜を味のアクセントとして使うときは食材としての役割を果たし、寒さの風邪をひいたときに使うと、体を温めて発汗させて風邪を追い出す薬の役割を果たすということです。
同じように葛(くず)も葛根湯に用いられる生薬の葛根(かっこん)の澱粉だそうです。
その後、実際にお料理に薬膳を組み込み、調理をしていただきました。
<蛤のお椀 薄葛仕立>
「菊の花は日本料理では秋に使う材料ですが、今回は熱を冷ますという作用があるとのことで花粉の時期の今、目の充血によいので使用しました」と吉田麻子さんが調理を進めていかれます。
また春は熱がこもりやすい時期とのことで、菊の花の苦味は熱を冷ます作用も期待できるそうです。
春には蛤やホタテなどの貝類を食べるとよいそうです。
<春野菜 苺酢がけ>
春の野草であるうるいは解熱や利尿作用があります。
冬の間に身体の中に溜まった老廃物を外に出すよう身体に働きかけるようです。
春の体は酸味を欲しがりますが、強すぎる酸味は体をギュッと締めて気の流れを妨げてしまうそうで、「酸っぱすぎては良くないとのことだったので、今回苺酢で和えて優しい酸味を加えてみました。」と吉田麻子さん。
<桜鯛うこん木の芽味噌焼き>
日本料理にはあまり使うことのないうこんを今回は味噌の中に混ぜ込んでいただきました。
うこんは生薬としても使われ、気の流れや血液の流れを良くしてくれる役割もあるので今の時期に取り入れたい生薬だそうです。
<蕗のとうと貝柱の炊き込みごはん>
鉄分がほうれん草の20倍あり貧血にとてもよい食材として知られている金針菜を薬膳の食材として使用いただきました。
(乾燥したものをお湯で戻し、昆布出汁に浸しておいたものを使用)。
<桜餅>
桜餅の色付けとして紅麹を生地に使用。
紅麹はコレステロールを抑制させる働きがあると言われており、優しいピンクの色で春を演出してくださいました。
勉強会に参加された方からは
「薬膳という難しそうなイメージがなくなり、知っていると薬になるという考え方・薬膳というものに初めて触れてもっと知りたいと思った」、「違う観点から食を見ることができて良かった」、
「季節によって体が欲しがる味、香り、食材の話が聞けて良かった」などの感想をいただきました。
また季節ごとに勉強会を開いてほしいとのリクエストもいただき、とても有意義な勉強会となりました。
ご参加いただきました皆様、講師を引き受けてくださった吉田麻子さん、黒川眞紀子さんありがとうございました。