全日本・食学会 ALL JAPAN FOOD ASSOCIATION

      
【開催日】
2016年6月3日(金)
【開催場所】
「MOTOI」(京都市中京区富小路二条下ル俵屋町186 ☎075-231-0709)


6月3日(金)、京都のフレンチレストラン「MOTOI」にてAJFA勉強会「フランス料理の古典を学ぶvol.1」を開催しました。

講師は辻調理師専門学校 技術顧問(西洋料理) 木下幸治氏。

「私が料理の世界へ入ったのは1973年です。

本日は、80年代のフランス料理をそのまま表現したいと考えています」と木下氏。


「フュメ・ド・ポワソン」の取り方のレクチャーをはじめ、

「ソース オランデーズ」、「ソース ヴァンブラン」、「ブールブラン」の実演と講義。

さらには「舌平目のデュグレレ風」の実演、試食へと続く2時間半にも及ぶ深みのある勉強会となりました。

まずは「フュメ・ド・ポワソン」の取り方を教わります。

鍋にバターとサラダ油を入れ、

タマネギとエシャロットを焦がさないように炒め、魚のアラを加えます。

そしてアラの生臭さが消えて香ばしくなるまで、アラの水分を抜きながら炒めます。

白ワインを入れ、アルコール分を飛ばし、水をひたひたになるまで注ぎ入れます。

粒コショウ(ホール)とブーケガルニを加え、

沸騰後、最初に出てきたアクを取り、30分程煮込み、シノワで濾します。


実演の途中にも、参加者からの質問が飛び交います。

「干したり、塩を施した魚を使うことはないのですか?」とは、

池邉正憲さん(イタリアンレストラン「ラーゴ」)。

木下先生曰く、「ダシの場合、一切使いません。塩を含んだ魚を使うと、後で塩味が決めれなくなりますから」。


試飲では、「和食のダシとは全く違いますね。和もフレンチのダシもどちらにも良さはあります。

でも、フュメ・ド・ポワソンは油脂が入りますから、やっぱり“フレンチのダシ”ですね」と、佐々木浩理事(祇園 さゝ木)。


西洋料理は足し算であること。また、「フュメ・ド・ポワソン」を煮詰めたり別の味を加えて、味を構成していく応用があることも学びます。


次は「ソース オランデーズ」の実演です。

卵黄と水を湯せんにして、かき立てたところに澄ましバター(湯煎にかけたもの)、レモン汁、塩、コショウ、カイエンヌ・ペパーを加え、味を引き締めます。


「80年代のフランス料理は、このソース オランデーズに熱を加え魚料理にデコレーションを施すこともありました」と木下氏。

サラマンダーで火入れをし

ソース オランデーズが膨れはじめ、表面に焼き色が付いた状態です。

参加者には、ソース オランデーズの試食もしていただきました。


続いて、「ソース ヴァンブラン」の実演へ。

「白ワインの酸味とエシャロットの甘みがポイントです」と木下氏。

エシャロットとシャンピニョン、白ワインを煮詰め「フュメ・ド・ポワソン」を加えてさらに煮詰めます。

この時点で、最初のテイスティングです。

「濃くてやや酸っぱいですね」といった声も聞かれ、「ここで生クリーム(47%)を加え、濃くしたものを和らげるのです。

フランス料理ならではの手法ですね」と木下氏。

生クリームでコーティングされ、じつにまろやかな味わいに。


さらには「ブールブラン」の実演も。

エシャロット、白ワイン、白ワイン酢を煮詰めた「レデュクション」に少量の生クリームを加えて混ぜ、たっぷりのバター、レモン汁、塩、コショウで味を調えます。

木下氏曰く、「乳化はしていません。これは“白濁”している状態です」。

これにはバターの温度と、バターが溶けていく温度との関係が重要だそうで、「サイコロ状に切ってすぐのバターを加えて、モンテすると濃度がつきやすい」とのこと。


木下氏による講義と実演が続きます。


最後の実演は、「舌平目のデュグレレ風」です。

デュグレレとは、アントナン・カレームの弟子であった「アドルフ・デュグレレ」のことであり19世紀のフランス料理界に名を残した料理人のひとり。

彼が生み出した料理が「舌平目のデュグレレ風」なのです。

この日は天然の平目を使用。

みじん切りにしたエシャロット、タマネギ、トマト、パセリ、そして白ワインとフュメ・ド・ポワソンを加え、

スチームコンベクションオーブン(220℃)で7分加熱します。

小さなバッドに移し替え、熱を逃さないようラップでしっかりと密閉している間に、

たっぷりのバター、レモン汁、塩、コショウを用いたソースの仕上げへ。

ポム・ア・ラングレーズを添えて「舌平目のデュグレレ風」が完成しました。

「MOTOI」のレストランスペースで、「舌平目のデュグレレ風」の試食です。

「バターが驚くほど入っているのに、全く重たさを感じませんね」とは、高橋雄一さん(Ikariya523)。

また、前田元さん(MOTOI)は、

「自分が使っているバターは、まだまだ足りないです」など、さまざまな意見交換がなされました。


最後に木下氏はこう話してくださいました。

「今日、味わっていただいたのはフランスで140年以上、食べ続けられている料理です。

普遍的な料理というのは後々、残るものでしょうし、時代に合わせて、万人受けするようにどう工夫していくかが大切です。

料理人である皆さんが忘れてはならないことは、やはりお客様に喜んでいただくこと。

そこを忘れず、前に進んでほしいです」。

最後に。本勉強会の講師を務めてくださった木下さん、

調理補助及び、勉強会の会場を提供いただいた「MOTOI」シェフ前田元さん、

調理補助をいただいた「Ikariya523 」のシェフ高橋雄一さん

心より御礼申し上げます。

今回のAJFA勉強会は「フランス料理の古典を学ぶvol.1」でした。

ですので、今後も続けさせていただきたいと考えています。


vol.2の内容や日程が決定次第、AJFAのホームページやFacebookでお知らせいたします。