全国各地で開催されている熱中小学校。九州・宮崎こばやし熱中小学校で、上柿元シェフ(ムッシュ)が授業の1コマで講演と懇親会に参加されました。
授業は若かり頃のパリの修行時代から今に至るまでのお話を。
そしてもちろん!!腕をふるった料理もしていただき、ムッシュも参加された皆様も大満足の授業だったようです。
その様子を参加者のレポートで報告します。
「【第12期・2回目授業】
◎1時間目「日本ワインが抱える課題」 村上健 先生 ㈱高畠ワイナリー 代表取締役
村上先生は山形県ワイン酒組合の理事長をされており、自社の事だけではなく、日本ワイン業界のお話を交えての授業でした。
日本にあるワイン酒組合があるのは、山形県と山梨県だけで、山形県はGI(地理的表示制度)も取得している日本ワインのリーダー的存在です。自然派ワイン、ビオワイン、有機ワインの違いや無添加ワインについて、何となく知っていた知識を整理できた授業でした。
高畠は全国で最初に出来た熱中小学校で、課外授業で耕作放棄地を耕して葡萄の苗を植樹し手入れを続け、6年目の今年、その葡萄でワインを作り、高畠熱中ワインとしてリリース、あっという間に完売されました。
亡き前田先生(熱中高岡寺子屋・初代校長)デザインの熱中マークがエチケット(ラベル)の真ん中にあるワインもあり、とても嬉しくなりました。
◎2時間目「畜産6次化進化について」永谷武久先生 大吉商店㈱代表取締役社長
滋賀県高島市で近江牛の肥育から精肉業、加工業など曾祖父が興した畜産・精肉業の4代目。飲食店に注力しながら早世した父の後を23歳で継ぎ、全く経験がなかった畜産・精肉業の世界に入ったが飲食店よりも牧畜の方が楽しく面白く、天命か!と思われたそうです。
肥育農家として、宮崎の小林市場、都城市場で小牛を買い付けており、小林市場の一番の購入者だと校長が話していました。
近江商人の「三方よし」の精神、地元の偉人中江藤樹先生の「知行合一」、致知の稲森和夫会長の教えなどが精神に染みこんで、進化なのか深化なのか深く潜って外の雑音に邪魔されずに進んでプハっと顔を出したらトップを泳いでいたのだろうなと思いました。
深く考えることを教えられた授業でした。「高いから売れる」というブランド管理術の著書を生徒みんなに頂戴しました。ありがとうございました。帯に「自分の価値に安い値札を貼る前に」とあり、ちょっと背中を押された気がしました。
◎3時間目「私とフランス料理」上柿元勝 先生 長崎市「パティスリーカミーユ」オーナーシェフ
言わずと知れたフレンチのレジェンド「ムッシュ」こと上柿元シェフが、原田校長を通じ全日本・食学会協力で小林にお越し頂きました。原田校長に大感謝です。
憧れだけでパリへと行き想像を絶する毎日をやる気、勇気、根気で乗り切り、寝る間を惜しんで頑張り認められた話をフランスなまりの鹿児島弁?でユーモアたっぷりにお話しされ、頑張れば何でもできる!という気持ちをいただきました。
1976年にはジュネーブで、もう一人のレジェンド三国シェフと「日本にフランス料理を持ち帰って発展させよう」と話し合ったことが今に至るとのこと。
その後、31歳の時に神戸ポートピアホテルの「アラン シャペル」オープンに伴い帰国。その時、回りは年上の先輩シェフばかりだが「年上相手でも、技術と人間性があれば統率できる」と考え、立派に勤め上げられ、長崎のハウステンボスオープンの時に請われて総料理長に就任、その後も重職を歴任されました。
今では、「人間いくつになっても学びは必要」で、「現状をきちんと把握して自分が役立つことを考え」、「伝統を重んじ文化を次の世代に渡すこと」を大切に、弟子を育てていらっしゃいます。もう、こんなに時間中ドッカンドッカン笑い声が起きる授業は初めてで、笑いの中にキラキラと珠玉の文言がちりばめられた素敵な素晴らしい授業でした。」
※熱中小学校とは、大人の「社会塾」
廃校を利用して、20~80歳の大人の皆さまに出会いと学びを提供する熱中小学校。熱中小学校の教室では、企業の経営者、大学教授、デザイナー、芸術家などの豪華な教師陣が様々なトピックの講義を行い、地域の人材育成・異業種間交流・地域間交流・特産品開発などに取り組みます。受講生には起業家や自営業者から自治体関係者、会社員など経歴・年齢さまざまな方が集い楽しく学びます。